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フォートナイト|遅延ゼロツルハシの謎に迫る

2021年10月30日

遅延ゼロツルハシ

はじめに

遅延ゼロツルハシ(またはPingゼロツルハシ)と呼ばれるツルハシの存在をご存知でしょうか。

文字どおり、遅延がゼロのツルハシということのようです。ブログ主はTwitterのタイムラインでその存在を知り知的好奇心に火がつきました。

この記事は「遅延(Ping)ゼロツルハシとは何なのか」ということについて調査した内容になります。

(調査に時間がかかったことと、皮肉なことに最近はフォートナイトのプレイの方にまた熱が入っているため時機を逸した投稿になってしまいました)

ブログ主は「結論から言え」と上司に散々怒られてきた社畜なので結論を先に記載しますが、調査結果は「真偽不明」という残念なものになります。

ただし、調査の過程で新たに判明したことや、ブログ主の見解もありますので、経緯なども含めて関心のある方は読み進めてください。

遅延(Ping)ゼロツルハシとは

正式名称

ブログ主がその存在を知ったのはTwitterのタイムラインからである。

(ブログ主の中で過剰に)問題となっている「遅延(Ping)ゼロツルハシ」とは、下図のものであり、正式名称を「キャットウーマンズ グラップリング クロー(Catwoman's Grappling Claw)」という。

遅延ゼロツルハシ

入手方法

もともと、このツルハシを入手するには限定的な期間か方法でコードを入手する必要があったようである。

この辺り詳しくないので知っている方いたら教えて下さい。

したがってブログ主も実際に使用して検証する術もなかったわけであるが、2021年10月中旬にアイテムショップで普通に販売され、ここぞとばかりに購入した。

いずれアイテムショップで再販されるときが来ると思われる。

言葉の理解

日本語での解釈

まずは「遅延(Ping)ゼロツルハシ」という言葉から紐解いてみたい。

「遅延(Ping)ゼロツルハシ」は正式名称ではなく俗称ではあるが、「遅延」「Ping」「ゼロ」「ツルハシ」という単語から構成されている。

主にWikipediaでの解説を引用する。

遅延

遅延(ちえん)とは遅れること。

交通機関が予定時間を遅れて到着するときに用いられる。遅延・欠航便遅延証明書など。

電子回路における遅延回路など。

CGにおける遅延シェーディングなど。

タイムラグ - ラグを参照。

ディレイも参照。

Wikipedia

フォートナイト(やゲーム)で使われる「遅延」という言葉は、この中であれば「タイムラグ」がもっとも適切だろう。

上記リンクから 「タイムラグ - ラグを参照」する。

ラグ(lag、タイムラグ)とは、人間がコンピュータ命令入力してから命令が実行・反映されるまでの遅延時間(delay time)のこと。またはコンピュータネットワークの中でパケットが送受信される間に生じる遅延時間。これらに関連してオンラインゲームで発生する遅延のことを指すこともある。

Wikipedia

さらにラグの分類の中に「オンラインゲームのラグ」というドンピシャな解説があった。

リンク先は一気に文量が増えるので該当部分だけ画像で転記する。

スマホからだと見えないかもしれませんがここでは内容が読めなくても支障ありません。

「検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。」という不穏な注記

ラグについては、「ラグい」と言われるようにフォートナイトだけでなくオンラインゲームでよく使われる言葉である。

上記の解説の中に、ブログ主が着目し、今回の「遅延(Ping)ゼロツルハシ」に関して物申したい箇所があるが、それは後で引用する。

Ping

Pingとは「通信にかかる時間を表す数値」を意味する。(検索すればすぐに分かる用語なので引用は省略)

Pingとfpsについては過去に基礎的な解説記事を投稿しています。

詳細はこちら

ゼロ

0 の起源

紀元前2500年頃のピラミッドの幾何学的な正確性は、古代エジプト人が高度な数学を持っていたことを示す。しかし古代エジプトでは数学は主に暦法と土地測量の手法として発展したため、零の研究は発達せず、それを表す記号もなかった。面積がゼロの土地はなく、0日めのあるカレンダーもない。よってゼロは不要であった[9]

紀元前500年頃、楔形文字を使っていたメソポタミア文明で、位が 0 であることを示す文字を使い始めたことがわかっている。六十進法を用いたバビロニアの数の表記には、古くは 0 がなく、例えば「62」と「602」は表記が全く同じで、見分けがつかなかった。これは非常に不便であったので、時代が下ると 6 と 2 の間に斜めの楔を並べて、62 と 602 の区別を表すようになった。この文字が人類が最初に 0 を表現した記号とされている。しかし、0 自体を数のうちとして扱ってはいなかった。

古代ギリシャでは高度な数学と天文学が発展したが、ギリシャ数字は計算が非常に面倒だったので、天文学のような大がかりな計算にはバビロニアから伝わった六十進法を使った。最も古い例は130年、プトレマイオスが零と六十進法を用いて計算をした記録がある。ギリシャの数学者はこの方法で時間や角度を計算し、1時間、また角度の1の1/60を1分、1/60分を1秒とした。しかし整数部分である1時間単位や角度そのものには零を使わず、12時の次は0時ではなく1時であった。ギリシャでは、バビロニアのゼロ記号にはギリシア文字オミクロン「ο」を当てた。アラビア数字の0と形が似ているが、これはおそらく偶然であったとされる[10]

アルキメデスは「ある数とある数を足せば、結果は元の数より大きくなる」という「アルキメデスの公理」を定立したが、足しても増えない性質を持つゼロは、この公理上、数ではないことになる[注 3]。古代ギリシア人は「ο」を単に小数点のような位取りを表す補助記号として使い、数のうちに含めなかった。ギリシア数字にはゼロを示す文字がなく、ギリシャの数体系を継承したローマ数字にもゼロにあたる数字がない。

古代西洋で 0 の概念が受容されなかったのは、その宇宙観によるところが大きかった。アリストテレスは「自然は真空を嫌う」と宣言し、空間は必ず何らかの物質が充満しているとして真空、つまり「無」の存在を認めなかった。またアリストテレスは、宇宙を地球を中心にする球である天球と定義し、有限なものと考えた。この哲学からは「」と「無限」は認められなかった[11]

アリストテレス哲学を源流とする「無」と「無限」を否定する宇宙観は中世ヨーロッパに継承され、宗教の一部と化した。17世紀まで、ヨーロッパでゼロや無限を主張することは、キリスト教への冒瀆であり、死刑宣告を意味した。中世ヨーロッパではゼロを悪魔の数字とみなし、ローマ法王により使用が禁じられた[12]。1600年には、宇宙が無限であると主張した修道士ジョルダーノ・ブルーノが、異端の罪で火あぶりの刑にされている。

「無」が実在することを認め、ゼロを数として定義したのは「無」や「無限」を含む宇宙観を持ち、哲学的に「無」を追究した古代インドにおいてである。0の位置を記号で表わすバビロニアの方法はインドにも伝わった。最近になってオックスフォード大学の研究チームが、1881年に現パキスタン国内で発見されたバクシャーリー写本と呼ばれるカバノキの樹皮の巻物の数学書が、これまで考えられていたより500年古い3 - 4世紀頃のものであることを年代測定で特定した。そしてこの巻物に記された黒点が、インドにおける最古の0を表す文字であることになった[13][14]

古代インドの数学で数としての「0」の概念が確立されたのは、はっきりしていないが5世紀頃とされている。数学者のブラーマグプタは、628年に著した『ブラーマ・スプタ・シッダーンタ』において、0 と他の整数との加減乗除を論じ、0 / 0 を 0 と定義した以外はすべて現代と同じ定義をしている。ゼロは「シューニャ」( サンスクリット語: शून्य, śūnya。うつろな)と呼ばれた。9世紀頃のグワリオールの寺院の壁に残る碑銘が「0」の最古の例とされていたが、バクシャーリー写本の年代が放射性炭素年代測定によって3-4世紀であることが判明したため、年代が約500年さかのぼった[13]。これがアラビアに伝播し、フワーリズミーの著作のラテン語訳 Algoritmi de numero Indorum により「アラビア数学」の「0」として西欧に広まっていった。

インド・中東・ヨーロッパを除いて、数や空位を表す記号としての「0」を確立した地域としては、マヤ文明が代表例である。マヤ数字二十進法を用いたが、「0」を意味する記号として貝殻に似た模様 が用いられた。二十は「点1つの下に貝殻模様」という位取り記数法であり、例えば十進表記の1616(二十進表記の40G)は上から順に「点(一)が4つ | 貝殻模様 | 横棒(五)が3つ + 点(一)が1つ」という形式で表記された。

中国では算木が紀元前から使われており、位取り記数法が確立していたが、空位は空白で表していた。算木を実際に使うときは誤解がないが、それを書写するときは紛らわしい。後に空位を「〇」と書くようになった。これはインドの「0」が輸入されたとも、元々、漢文で空白を表す「囗」が「〇」に変化したともいう。漢数字#〇、零を参照。

Wikipedia

上記はほんの一部です。

ブログ主は「ゼロ、すなわち無とは何か」という哲学の領域に足を踏み入れてしまいました。

その結果、古代エジプト文明、メソポタミア文明、プトレマイオス朝ギリシャの世界史の復習、そして古代インド数学で最古の0の概念が確立されたことを特定したオックスフォード大学の研究チームへのコンタクトを試みることになりました。

調べている間、宇宙の真理に近づいた気がしましたが、軽い気持ちで足を踏み入れると帰ってこれなくなりますのでくれぐれも注意してください。

最古の「ゼロ」文字、3~4世紀のインド書物に 英大学が特定 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News
最古の「ゼロ」文字、3~4世紀のインド書物に 英大学が特定 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

【9月16日 AFP】3~4世紀のインドの書物に記された黒い点が、数字の「0(ゼロ)」の最古の使用例であることを、英オックスフォード大学(University of Oxford)のチームが特定した。

www.afpbb.com

ほとんどの読者が離脱したと思いますが、気にせず進めます。

ツルハシ

つるはし(鶴嘴・ツルハシ)は、先端を尖らせて左右に長く張り出した頭部をハンドル部分に直角に連結した道具。唐鍬の一種である[1]。主に固い地面やアスファルトを砕くために使われる。ピカクス(Pick-axe)と呼ばれる。

ピッケルに似た形をした大型工具で、尖った頭部が(くちばし)に似ているため、つるはし(鶴嘴)と呼ばれる。旧日本陸軍自衛隊では十字鍬と呼称する。
頭部はほとんどのものが金属製で、ハンドル部分は金属製か木製であることが多い。日本で一般に市販されているものは頭部が塗装されたものが多い

Wikipedia

フォートナイトの言語設定を英語にするとたしかに「Pickaxe」と表記されているので「ツルハシ」の定義と完全に一致すると考えていいだろう。

ツルハシとピッケルは別物

遅延(Ping)ゼロツルハシの正確な説明

上記の言葉の定義をフォートナイトに合わせて記載すると、遅延(Ping)ゼロツルハシとは、

プレイヤーがパッドまたはキーマウで入力してから実行・反映されるまでの遅延時間(またはその通信にかかる時間)を「無」(古代インド数学で初めてその概念が確立されたことをオックスフォード大学研究チームが特定)とする 、先端を尖らせて左右に長く張り出した頭部をハンドル部分に直角に連結した道具

ということになる。

言葉により生じる混乱

前述した「オンラインゲームのラグ」というWikipediaの解説の中で、ブログ主が着目し、今回の「遅延(Ping)ゼロツルハシ」に関して物申したい箇所は以下である。

誤用としてのラグ

ことオンラインゲームでのラグは上記の通り通信におけるタイムラグやサーバー側の問題のことを指しており、クライアント側の処理能力不足によるゲームスピードの低下とは別の物であったが、近年ではクライアント側の処理能力不足(例えばCPUグラフィックカードがゲームの要求する処理速度を満たしていない場合)による入力の遅延もラグと称される場合がある。 その場合快適に動作させるためにはクライアント側での対策が必要となり、上記の通信のタイムラグやサーバーの処理能力不足とは別の問題となるため注意が必要である。

Wikipedia

言いたいことを要約すると、

  • 本来オンラインゲームにおけるラグとは通信遅延(Ping)のことを指している
  • プレイヤー(上記でいうクライアント側)の個別環境による遅延(ゲーム機による差やモニターのリフレッシュレートなど)は別物

広義の「遅延」という意味と、通信遅延の概念が混在して語られることで、フォートナイトのツルハシ界隈は大混乱に陥っているわけである。

遅延の整理・分類

文章だけでは分かりづらいので、多忙な仕事の合間を縫って、この言葉による混乱を図で整理・分類しておく。

「その他」は省略しているが、これでこの世の中の「遅延」と呼ばれるケースを99.9%はカバーしているだろう。

遅延の分類

上の図において、今回の「遅延ゼロ」とはどの部分を言っているのかをクリアにする必要がある。

英語での解釈

そもそも「遅延(Pingゼロツルハシ」とはいつどこの誰が言い出したのであろうか。

Twitterでの情報提供によると、海外競技勢がこぞって使っているとのことである。

となると、これが英語でどう呼ばれているかにヒントがありそうである。

調べたところ、英語では

"0 Input delay pickaxe"

と呼ばれていることが分かった。

これが「遅延ゼロツルハシ」と訳されたと推測されるが、Inputの訳が抜け落ちており、正確には「入力遅延ゼロツルハシ」とすべきであろう。

これにより、入力反応の遅延がゼロであるという前提を置くことができるのは大きな前進である。

追加の疑問

そもそも、フォートナイトのツルハシごときで通信遅延が発生していたら、通信キャリア(NTTとかauとか)はたまったものではない。

しかし、まだ謎は残る。

入力遅延ゼロとは

通信遅延ではないとするとPingゼロツルハシというのは完全に誤った表記となるが、入力遅延がゼロということにも大きな疑問が残る。

これは逆の見方をすれば、「他のツルハシには入力遅延がある」ということを意味する。

「通信遅延外の入力遅延とはなにか」という話については、ボタン(キー)を押してからツルハシの当たり判定が出るまでの時間以外に想定できることがないため、その前提で話を進めます。

下のスクリーンショットはブログ主がこのツルハシをなけなしのV-Bucksで購入したときのものである。

画面下の注釈に注目していただきたい。

「これらのビジュアルアイテムは、ゲーム中のアドバンテージを与えるものではありません。」

とはっきり記載されているのである。

もしツルハシによる入力反応時間に差があるとした場合、これは虚偽の記載となり、Epic GamesはAppleとの訴訟に加え、消費者による集団訴訟のリスクを抱えることになるだろう。

検証

ブログ主による検証

実際に使用してみたが、まっっっっっっっっっっったく違いが分からなかった。

一線級の競技勢、プロには違いが分かるのであろうか。

LiaqN氏による検証

Twitterからの情報提供で以下のYouTube動画を紹介いただいた。

このブログでネタバレしたら怒られるのかもしれないが、結論は「よくわからない」というものであった。

動画の中でLiaqN氏が言っていることはブログ主が感じていることとまったく同一である。

唯一、同氏はツルハシのことをピッケルと言っていますが、前述のとおりツルハシとピッケルは別物ということだけは何らかの手段でお伝えしたい次第です。

公式回答

ここまでくると、開発元のEpic Gamesに直接確認するしか道は残されていない。(というか最初からそうするべきであった)

Epic Gamesの問い合わせフォームから問い合わせた際の担当のおにぎり侍氏からの回答メールを紹介したい。

明確な回答を避けるという疑惑が残る対応であった。

Epic Gamesの回答担当者の名前は毎回センスがあるので問い合わせをするのが楽しくなります。(別件の担当者は鮭子でした)

まとめ

真偽不明

想定Q&A

「遅延ゼロツルハシ」に懐疑的かつ冷ややかな視線を向けるブログ主に対し、ここまで忍耐強く読み進めた方の中から以下の反論があるかもしれない。

  • では、なぜ「遅延ゼロ」と言われているのか
  • では、なぜ海外競技勢がこぞって使っているのか
  • では、なぜ公式は回答をはぐらかしたのか

これらの反論に対するブログ主の回答と見解は以下のとおりである。

  • このツルハシの解説にある「ゼロポイントセットの一部」というゼロという表現が都市伝説を生み、広く伝播した。
  • 競技勢としては、そのようなアドバンテージの可能性がある以上使わないと不利になるので使っておくことが無難。
  • カスタマーサポートとして、個別性の高い質問に回答してしまうと他の質問にも回答しないといけなくなり業務負荷が増える(コスト増)。
    また、明確な回答をした後に誤りがあると事後対応の必要性が生じるため、ディフェンシブなテンプレ回答となる。

確実に言えること

ひとつ確実に言えることがある。

「遅延ゼロツルハシ」はツルハシの定義を満たしていないのでそもそもツルハシではない。

ゼロとは何か考えていたら力尽きたので許してください

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